雑誌で変なオフィスを紹介していた。
オープンカフェのような、というかその物である。
とにかく広い。
車が通れるくらい通路が広く、物がほとんど置かれていない。
円形や卵型の机がポツポツと並び、床は石畳や芝生仕立て。
フロアに仕切りが一つもなく、見通しがよい。
そして、ホテルのラウンジ並みに美しい。
これが、日本テレコムのオフィスだという。
社長自らがデザインしたという肝入りだそうだ。
大企業と言えば、お役所スタイルのオフィスが定番。
膨大な書類をきっちりと保管するには、
四角四面な机やキャビネットが効率的だ。
特に、昨今では情報保護に過敏になっているので、
キャビネットがどんどんと増えてきている。
そんな中、このオフィスは異彩を放っている。
仕事の効率性ではなく、メンタルの効率性を追求したのだ。
これは、世の中のターニングポイントを示す事例だと感じた。
創造性やモチベーションといったメンタル要素に対して、
場所が大きな影響を与えることは、以前から知られている。
しかし、場所のメンタル生産性をあげるための投資は、
今までは事例も少なく、黒字企業の道楽と捉えられる向きがあった。
しかし、自分自身の経験に照らしあわしても、
効率重視の四角いオフィスは、じっくり考え事をするには向いていない。
場所のような、一見無駄に思えるような投資こそが、
今、多くの企業で見過ごされている盲点になっていると感じる。